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内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える (講談社+α文庫)

著者:スーザン・ケイン
発刊:2015-12-18
カテゴリ採用・育成
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書評

ビルゲイツやラリーペイジも内向型人間だった。内向型の強みと魅力

「内向型人間のすごい力」というタイトル通り、本書は一般的には外向型人間が高く評価されている中、内向型人間の素晴らしさに焦点を当てた書籍である。
筆者はスーザン・ケイン氏。ハーバード大学ロースクールを経て、ウォール街での弁護士経験を持つ。TEDでの講演もインターネット上で1,200万回以上再生されており、一般的に見ればいわゆるエリート層である。
ただ、意外なことに彼女は「内向的」な人間であり、内向的であることに思い悩むこともあったという。

しかし、実際に世界を大きく変えた偉人には内向型人間が多いというのも意外な事実である。
ニュートン(万有引力)、アインシュタイン(相対性理論)、ショパン(音楽家)、スティーブン・スピルバーグ(映画監督)、ラリー・ペイジ(Googleの共同創業者)、J・K・ローリング、、、等様々な分野に渡る。

本書はそういった内向型人間の魅力を、様々な研究結果に基づき、紐解いていく。
筆者の希望的憶測ではなく、しっかりとした研究結果による分析のため説得力のある内容になっている。

本書に出てくる内向型人間の魅力について一部だけ紹介しておくと
・内向型人間は洞察力に優れ、小さな違いにも気づくことができる
・内向型人間はロジカルシンキング・クリティカルシンキングのレベルが高い
・内向型人間はより長く一つのことに集中することができる
などが挙げられている。

採用や組織開発に携わる人であれば読んでおくべき内容であろう。我々は企業の採用選考や昇進などの基準においても、どうしても外向型人間を高く評価しがちである。
外向型・内向型それぞれの良さをわかっておくことで、それぞれの人間が活躍する場所がはっきりとする。ポジションによっては内向型人間が適任であることもしばしばありうる、ということを理解しておかなければならない。

また本書後半には、内向型の子供の特性を磨くにはどのようにすればいいのか、ということも書かれており、子を持つ親世代にも読んでいただきたい一冊である。
親としても、できるならば子供を学校での「人気者」に育てたいという思いがあるかもしれない。しかし子供の将来の幸せのためには、必ずしも幼少期に人気者である必要はなく、内向型の子供のありのままを受け入れていいのだ、ということがわかり、安心させられる。

章の構成

  • はじめに 内向型と外向型――対照的な二つの性格について
  • 1章 「誰からも好かれる人」の隆盛
  • 2章 カリスマ的リーダーシップという神話
  • 3章 共同作業が創造性を殺すとき
  • 4章 性格は運命づけられているのか?
  • 5章 気質を超えて
  • 6章 フランクリンは政治家、エレノアは良心の人
  • 7章 ウォール街が大損し、バフェットがもうかったわけ
  • 8章 ソフトパワー
  • 9章 外交的にふるまったほうがいいとき
  • 10章 コミュニケーション・ギャップ
  • 11章 内向型の特性を磨く方法
  • 終章 不思議の国

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